全体バランス「ディテールの安定性」

女性服に限らず、洋服ってバランスがちょうど平行になるように設計されてます。
例えばTシャツやワイシャツは左右対称ですし、台形スカートなんかも左右対称。
有能な才能をお持ちのデザイナーさんだったりすれば、斜めのカットや変型の洋服を作ったりしますが、全体のバランスの傾き比重を上手くとって右によったり左によったりしない、なおかつ躍動感その他もろもろ、変化と安定が共存した洋服に仕立て上げているわけです。
傾きバランスが取れていないと、見た目、着用した時に不安感を生じるんじゃないでしょうか。

それはまずおいといて。
じゃあ具体的にどんな全体バランスが安定感を得られるかってことなんですけども、

  1 2 3 4 5
頭 ○ ○ ○ ○ ○
胴 ■ ■ ▲ ▲ ▼
腰 ■ ▲ ■ ▲ ▲
←安定     変化→

大体こんなパターンに絞られてくるんじゃないかと。
どれも「下(下半身)にいくにつれて底辺が広がっている(もしくは上半身とまったく同じ比重)」です。
上半身の方が底辺の長さが長いとどうしてもやじろべえのように不安定感が生じます。
(解消できないわけではないですがそれは後述)

○ ○
▼ ■
▼ ▼

はなんだかぐらぐらしたイメージですよね。(人によってはスタイリッシュになるでしょうけれど)

1はオーソドックス、シャツにズボンとかそういう感じです。上下の辺の比重がだいたい同じになります。
2は女性の普段着に多いタイプ、シャツにスカート(マーメイドスカートは1と2の中間になるかな?)
3はポンチョにロングスカートとか。
4はポンチョにズボンとか。
5はワンピース型です。
(あくまでも分りやすい一例です。)

1〜3までは安定性の比重が高く、4〜5は変化性の比重も混じってきます。*1
ちょっと個性的なデザインするときにいじりやすいのは4〜5あたりがメジャーかと。全部が全部じゃないですが。

で、メイド服に大方採用されているのは「5」パターン。
安定と変化がどちらも最大公約数で生かされているということになりませんか。
メイドという仕事柄、あまりとっぴょうしもない事は基本的にはできませんが、
かといってオーソドックスすぎるのも魅力がありません。
なおかつ5は女性の体型そのものなので、女性服デザインでは一番の強みになるのではないでしょうか。

メイド服には「安定安心感」と「変化魅力」の同居がディテール的にも優れていると感じました。

ちなみに執事さんの制服は1の様相ですが、肩幅をある程度強調することによって緩やかなさかさま台形になり、絶対的な安定感の中にすこし不安定要素が入る事で臨機応変に変化できる予兆を表現しているのではないかと思います。
あんまりにも比重が逆三角形になってしまうと、安定感が得られず不安感のが勝ってしまうような気がしますねー。



次回気が向いた時にこれに「色の重さ」を踏まえて一人語りおっぱじめます。

*1:尖っている方が「不安定」底辺の方が「安定」。4は2回に分けて「安定(底辺)」がありリズム感を得られる。やりすぎるとくどい。5は「安定→不安定→不安定→安定」でちょうど縦の天秤が平行になる。どっちかの底辺が重すぎたり軽過ぎると不格好。